自分の子どもの運動能力がどのくらいなのか知りたい。
子どもの運動能力を簡単にテストする方法ってないの?
お子さんの運動能力について気になる親御さんも多いのではないでしょうか!?
小学生になれば、体育の授業で、毎年、体力測定というのがあるので参考になりますね。
でも実は、幼稚園や保育園ではそのような運動能力検査は行われていないことが多いので、お子さんの能力が高いのか、低いのか、把握することができません。
今回は、全国標準を持つ日本で唯一の幼児向けの運動能力検査方法をご紹介します。
大学で実際にこの方法を用いて、幼児期の子どもの運動能力を調査・研究していた私が詳しく解説します。
この記事を読むとこんなことがわかります!
- 幼児の運動能力テストの方法がわかる!
- 家庭で実施するときの具体的な方法がわかる!
- 結果と評価(運動能力が高いのか、低いのか)の関係がわかる!
MKS幼児運動能力検査とは
今回ご紹介するMKS幼児運動能力検査は4,5,6歳の幼児を対象とした運動能力検査です。
日本で唯一の全国標準を持つ幼児向け運動能力検査
保育園や幼稚園では、小学校のように体力テストが義務化されていないため、全国標準の運動能力検査を作ることはとても難しいです。
この検査の最大の特徴は、幼児を対象とした全国標準を持つ日本で唯一の運動能力検査であるということです。判定基準は北海道から沖縄にいたる全国の幼稚園・保育所に通う約12,000名の4,5,6歳児の測定値を基に作成されているのです。幼児を対象とした運動能力検査はこのほかにもいくつかありますが、それらはすべてある一部の地域の幼児を対象として基準が作られています。運動能力の発達には地域差が認められることが多いので、日本全国の幼児と比較して発達が判定できるのはこの検査だけといっていいでしょう。
「MKS幼児運動能力検査 」より引用
この検査の研究会メンバーの森司朗 教授(鹿屋体育大学)は筆者の恩師でもあり、筆者自身も大学在学時代にこの検査方法を用いて幼児の運動能力を調査・研究していました!
MKS幼児運動能力検査のテスト項目
次に、具体的なテスト項目をご紹介します。
下記の6項目(7項目)で構成されています。
子どもの運動能力を判定する6つのテスト項目
25m走
25m走では走るチカラを計測します。
- 30mの直走路を作り、25mのところに印をつけ旗を2本立てておく。
- ストップウォッチ
- 旗(スタート合図用1本、25m地点2本)
- 決勝用テープ
- スタートラインを踏まないようにして、両足を前後に開き、「用意」の姿勢をとらせる。
- 「ヨーイ・ドン」の合図と同時に小旗を下から上にあげてスタートさせる。
- テープを30mのゴールラインのところにはり、そこまで疾走させる。
25m走を家庭で実施するポイント
- 広い公園で実施しましょう
- 30m程度のメジャーがあると実施しやすいです
立ち幅跳び
立ち幅跳びでは遠くまで飛び跳ねるチカラを計測します。
- メジャー (1.5~2m)
- 屋内の床に幅2cmの踏み切り線(ビニールテープ)をひき、その線に垂直にメジャーをはる。
- 踏み切り線には10cm間隔で、足を置く場所をテープで示す。
- 踏み切り線をふまないようにして両足をわずかに離して立ち、両足同時踏み切りでできるだけ遠くへとぶ。
- 二重踏み切りや片足踏み切りをしないように説明する。
- 二重踏み切りや片足踏み切りはやりなおしさせる。
立ち幅跳びを家庭で実施する方法
- 前に飛ぶというより、高く飛ぶように声掛けするのが良いです
- 「リボンロッド」という幅の広いメジャーがあると計測しやすいです
ボール投げ
ボール投げでは遠投するチカラを計測します。
- ソフトボール教育1号(周囲26.2~27.2cm、重さ136g~146g) 2個以上、または 硬式テニスボール (公認球:あまり古いものは不可) 2個以上
- メジャー
- 1m間隔、幅6mの線を引き(15m~20m)、間の50cmのところに印をつけておく。
- 両足を投げる手と逆になるように前後に開いて、前足が制限ラインを踏まないように立ち、上手投げで投げる様子を示範する(右手投げは左足が前になるようにして立つ。)
- 制限ラインを踏んだり踏み越したりすることなく、助走なしで、利き手の上手投げで遠くへ投げさせる。
- 足の開き方がどうしても平行になったり、逆になったりしていても無理になおす必要はない。
- あらかじめ引いてある投球線を越えた場合には、メジャーを使ってはかる。
ボール投げを家庭で実施する方法
- 前にというよりも上に投げるように声掛けすると良いです
- ソフトボールの場合は必ず1号球を用意しましょう
体支持持続時間
体支持持続時間では自分のカラダ(体重)を長時間支えるチカラを計測します。
- 幼児が立って腕を体にそって下げたときに肘の高さ(およそ70cm~75cm)ぐらいの机2個(または巧技台)を肩幅(約30~35cmぐらい)にあけておく。
- 机の上に手をおいたときに、両肘が伸びて「用意」の姿勢が取れるような高さの台を子どもの体格に合わせて用意する。
- ストップウォッチ
- 机と机の間に被験者を立たせる。このとき適当な高さの台の上にのる。
- 「用意」の合図で、手をそれぞれの机の上におき、両腕を伸ばす。
- 「始め」の合図で、足を床(または台)から離す(補助台を抜く)。
- 両腕で体重を支えられなくなるまで続ける。180秒(3分)を最高とし、それ以上になったらやめさせる。
- 次の場合は失敗であることを説明する。(イ) 腕が曲がったとき。(ロ) 掌以外の身体のどの部分でも机や床に触れたとき。
両足連続跳び越し
両足連続跳び越しではリズムよく、早く障害物を跳び越すチカラを計測します。
- メジャー
- 積木(およそ幅5cm、高さ5cm、長さ10cm)を10個
- 屋内の床に4m50cmの距離を、50cm毎にビニールテープで印をつけ、そこに10個の積木を並べる。
- ストップウォッチ
- ビニールテープ
- 幼児を最初の積木から20cmのところにスタートのビニールテープをはった線の前に立たせ、「始め」の合図で、両足を揃えてつけて、10個の積木を1つ1つ正確にそして迅速に連続して跳び越す。
- 次の場合は失敗である事を示範する。(イ) 両足を揃えて跳ばないとき(両足が積木の幅以上離れた場合)。(ロ) 積木を2個以上一度にとび越したとき。(ハ) 積木の上にあがったり、けとばして散乱させたとき。
両足連続跳び越しを家庭で実施する方法
- ピョンピョンとウサギのように跳ぼう!と声掛けすると良いです。
- 積み木はホームセンターで幅5cm×高さ5cm×長さ100cmの角材を購入して10個にカットしましょう
捕球
捕球では物体の移動先を予測して、タイミングよくキャッチするチカラを計測します。
- ゴムボール(およそ直径12~15cm、重さ約150g) 2個以上
- スタンド (高さ170cm以上のもの:玉入れのポールなど)
- テープ又は紐(布製が良い。ゴムはスタンドが引っ張られるため不向き)
- 3m離して2本の線を引き、中央にスタンドを立て170cmの所に紐をはる。
- 一方の線の後ろの方に子どもを立たせる。
- 測定者はもう一方の線のところに立ち、紐の上を越してボールを下手投げで胸のところに投げてやり、キャッチさせる。
- 3球練習させたのち、10球おこなう。
捕球を家庭で実施する方法
- 胸元をめがけて優しく下から投げてあげましょう
- Φ15㎝のドッチボールがおススメです
- スタンドやテープの代わりに自立するバドミントンネットを使うのもおススメです
往復走(※25m走ができない場合に実施)
往復走では方向転換を含めた走るチカラを計測します。
- 地面に15mの往復路を作り、スタートラインから5m先に印をつけ(測定ライン)、その位置に旗を立てる(図.参照)。スタートラインは1人分ずつ短めにしておく。
- ストップウオッチ
- 旗(スタート合図用1本、スタートラインから5m地点2本)
- 決勝用テープ
- スタートラインを踏まないようにして、両足を前後に開き、「用意」の姿勢をとらせる。
- 「ヨーイ・ドン」の合図と同時に小旗を下から上にあげてスタートさせる。
- テープをスタートラインと同じ位置にはり、15m先の折り返しラインに置かれたコーン(または旗)を回って、スタートラインのところまで疾走させる。
往復走を家庭で実施する方法
- 高さのある大きめのコーンを用意しましょう
MKS幼児運動能力検査のテスト結果と評価
各項目の測定結果を下表に照らし合わせて、5段階で得点を判定します。
男児の運動能力判定基準表
男児の判定基準表はこちらです!
皆さんのお子さんの結果はいかがでしょうか!?
女児の運動能力判定基準表
女児の判定基準表はこちらです!
男児よりも基準は低いようですが、皆さんのお子さんの結果はいかがでしょうか!?
運動能力の総合判定基準表
各項目の得点が判定できたら、総合判定をしましょう!
6項目の合計点を下表に照らし合わせてみて、総合評価は何点だったでしょうか!
総合判定で5点の子どもの割合は理論的には全体の7%のようです!
運動能力を高めるには?
運動能力テストの内容はわかったけど、結局、どうしたら運動能力を鍛えられるの?
と思う方もいると思います。
そんな方にはこちらがおススメです。
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