子どもの運動神経を鍛える方法【運動オンチはあなたのせいじゃない!】

転倒する子ども

「子どもの運動神経が悪い原因ってなんなの?
運動神経って遺伝でほどんど決まっちゃうって聞いたけど…
子どもの運動神経が良くなるように親としてサポートしてあげたいけど、何をしてあげたら良いのかわからない…。
具体的な方法を教えてください。」

そんなふうに思う気持ち、よくわかります!

そして、もし子どもの運動神経が悪いとしても、それはあなたのせいじゃありません!

大学で幼時期の子どもの運動能力を調査・研究していた私が言うので、間違いありません。

そしてあなたの子どもが、もし運動オンチだったとしても、確実に運動神経を良くすることができます!!

本記事ではこんなことを皆さまにお伝えします。

本記事でお伝えすること
  • 運動神経を悪くする負のスパイラル(あなたのせいじゃない!)
  • 子どもの運動神経を鍛えるため魔法!
  • 子どもの運動神経を鍛えるための具体的な遊び(ちょっとした工夫で劇的な効果!)
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筆者の経歴

・体育大学で”幼時期の子ども”の運動能力を調査・研究

・卒業論文のテーマは「運動発達・運動学習」

・同大学を首席卒業。保健体育の教員免許保有

・記事の内容を三人の息子の子育てで実践して検証済!

読者さんへの前置きメッセージ

発達性強調運動障害(DCD)などの障害が疑われる場合は、医師の診断を仰ぎましょう。

発達性協調運動障害の特徴には、①粗大運動(全身運動)が苦手な場合、②微細運動(手先の巧緻性)が苦手な場合、③どちらも苦手な場合があります。

■粗大運動の例:自転車(ハンドルをコントロールしながら足でペダルを漕ぎ全身でバランスを取る)、縄跳び(縄を腕でまわしながら足で縄を跳ぶ)、手足を同時に動かすラジオ体操やダンスなど

■微細運動の例:お箸が使えない、字が決められた枠の中にかけない、靴紐が結べない、ボタンがかけられない、着替えるのにとても時間がかかるなど

障害者.com ~発達性協調運動障害(DCD)とは。ただの不器用とは違う?~

ンラインカウンセリング(UNLACE)

目次

運動神経が悪い場合に考えられる原因(あなたのせいじゃない!)

ポイント!
  • 運動神経は「遺伝」と「環境」のどちらも影響する
  • 子どもの運動能力は昔よりも低下している
  • 生活環境の変化によって”遊び”の量が減っていることが大きな原因の一つ
  • 「からだを動かして遊ばない→運動神経が向上しない→運動の苦手意識→遊ばない」の負のスパイラルに陥っている

運動神経が悪いのは遺伝要因・環境要因のどちらもある

運動に限らず、人間の発達を考えたときに、遺伝と環境のどちらの影響が強いのか?という研究・議論は古くからおこなわれています。

近年では遺伝と環境がともにに影響しあっているという相互作用説が有力です。

例えば、自転車に乗れるという能力について考えると、運動神経が遺伝的に良い人は環境要因に左右されず(あまり訓練をしなくても、指導者に恵まれなくても)乗ることができますが、運動神経が遺伝的に悪い人は環境要因(周囲からのサポートなど)が必要であるということです。

この考え方では、遺伝的に運動神経が低い人でも、環境要因を整えて(上達をほんの少しだけサポートして)あげれば上達することは可能です。

遺伝優位説・環境優位説の詳しい内容が知りたい方はこちらをご確認ください。

子どもの運動能力は昔よりも低下している

身長
運動能力
  • 伸びている!!
  • 男子の平均身長は+1,7cm! (11歳の30年前との比較)
  • 落ちている!!
  • 男子ソフトボール投げでは平均-7.4m(11歳の30年前との比較)

文部科学省が行っている「体力・運動能力調査」によると、30年前と比べて、11歳の男子の平均身長は+1.7cm(101.2%)に伸びている一方で、男子ソフトボール投げでは平均で7.4m(-22%)も結果が悪くなっています。

体格が向上しているにもかかわらず、体力・運動能力が低下しているということは、身体能力の低下はより深刻な状態といえます。

そして最近の子供は転んだ時に手が出なかったり、ボールをうまくキャッチすることができずに顔面で受けとめてしまうなど、命を守るうえで必要な基本動作ができない子どもが増えてきています。

わが子の命を守るためにも(身を守る術を本人に身につけてもらうためにも)、最低限の運動ができるようにサポートしてあげたいですね!

運動能力が低下しているのは、生活環境の変化で遊ぶ機会が減ったから!

“テレビゲームやスマホ”の時間
カラダを使った”遊び”の時間
  • 増えている!!
  • 減っている!!

子どもの運動能力の低下は、生活環境の変化により、遊ぶ機会が減ったことが大きな要因であると考えられています。

社会環境や生活様式の変化から、現代の幼児(1~6歳)は体を動かして遊ぶ機会が減少しており、多様な動きの獲得の遅れや体力・運動能力の低下だけでなく、運動・スポーツに親しむ資質や能力の育成の阻害、意欲や気力の減弱、対人関係などコミュニケーションをうまく構築できないなど、子どもの心身の発達にも重大な影響を及ぼしている

文部科学省「幼児時期運動指針」抜粋

逆に、スマートフォンやテレビゲームなど、からだを動かさない遊びは増加傾向ですので、ぜひその時間を削って、子どもと一緒にからだを動かして遊ぶ時間に当ててあげましょう。

運動嫌いの負のスパイラルに陥っている子が多い

からだを動かすことへの苦手意識から、からだを動かす機会が減り、運動神経が向上しないため、また苦手意識を強めてしまう、そんな負のスパイラルに陥ってないでしょうか。

しかし本来、生まれたときから「からだを動かすのが苦手」と”認識”している子どもはいません。

苦手意識をもつきっかけとしては大きく二つ考えられます。

苦手意識のきっかけ
  • 運動中に恐い体験をした(例:転んで大けがをした)
  • うまく出来なかったときに、惨めな思いをした(例:なわとびができないことを周囲にバカにされた)

どちらの場合でも、いまから紹介する方法を実践すれば大丈夫!ですので安心してください。

この後の章で解説していきます。

子どもの運動神経を鍛えるための考え方!(子どもに魔法をかける!)

本記事の結論ですが、”子どもの運動神経を鍛える”ためには、子どもが自然遊びたくなるような魔法をかけちゃいましょう!!

そのためには、子どもがどうやったら遊びたいと思えるようになるのか、を知る必要があります!

ポイント!
  • 運動・動作の習得は幼児期(1~6歳)が超重要!
  • 運動神経を良くするためには幼児期(1~6歳)に”36の基本動作”を身につけるのが大事!
  • 遊びの中に”36の基本動作”をとり入れると自然と楽しめる!
  • 親が楽しそうに遊べば、子どもも遊びたくなる!

魔法をかけるなら子どもが小さいうちが良い!動作の習得は幼児期(1~6歳)が超重要!

運動が得意になるには、「時期」がとても大切です。

誰もが生まれながらにたくさんの神経細胞を持っていますが、赤ちゃんの頃は未発達で、まだ細胞同士のつながりがありません。成長とともに神経細胞同士のつながり(シナプス)が発達して、情報の伝達回路ができ、体が動かせるようになっていきます。

この神経の伝達システム全体のことを「神経系」と呼ぶのですが、神経系の発達は実はとても速く、5-6歳で80%に達し、動作習得のスピードが最も高まるのは8歳頃といわれています

画像:スキャモンの発達曲線

この時期をすぎたらダメということはありませんが、様々な遊びを通して運動を覚えるには、とにかく子どもが小さいうちが良い!ということですね。

なので、ぜひ”いますぐ”とり組みましょう。

運動神経を良くするためには幼児期(1~6歳)に”36の基本動作”を身につけるのが良い

子どもの運動能力向上のために有効なものとして、投げる、歩く、ける、投げる、跳ぶといった、あらゆるスポーツの基礎となる”36の基本動作”があります。(中村氏が提唱)

これらの基本動作をバランス良く身につけることが、すべての運動・スポーツの基礎になり、運動能力の高さにつながります。

遊びの中に”36の基本動作”をとり入れると自然と楽しめる!

“テレビゲームやスマホ”の時間
カラダを使った”遊び”の時間
  • 増えている!!
  • 減っている!!
 現在
遊び例:竹馬カラダを使って遊ぶ機会の減少
基本動作基本動作をバランスよく行っていない
結果運動神経向上運動神経低下

36の基本動作ですが、昔は意識せずとも”外遊び”の中で知らず知らずのうちにこうした動作を体験していました。

しかし、子どもをとりまく環境の変化で、近年では意識的にとり組まなければなかなか体験する機会がなくなってしまっており、それが子どもたちの運動能力の低下につながっています。

昔と同じで、遊びの中で自然と36の動作をおこなうように”遊び”自体を工夫することがポイントです!

この後、具体的なアイデアをたくさん紹介しますので、ぜひ実践してみてください!!

親が楽しそうに遊べば、子どもも遊びたくなる!

子どもがからだをつかった遊びをやりたがらない場合はどうしたら良いか?

そんな時は、まずは親が楽しく遊んでいるところを見せることが大事です!!

人間の脳には、まね(模倣)に特化したミラーニューロンという神経細胞があります。

“ママ~”などと言葉をしゃべれるようになるのも、スプーンが使えるようになるのも、この神経細胞のはたらきによって”マネ”を通して身につけています

遊びや運動も同じです

運動が苦手な親御さんもいらっしゃると思いますが、上手下手はさほど重要ではありません。

親が本気で楽しむ姿こそ、子どもの好奇心を育み、運動を好きになる近道となります。

子どもが遊びを楽しみ出す“3つの魔法”

いよいよ魔法の内容をお伝えします!

ポイント!
  • 親が楽しく遊んで見せること!
  • こどもの「できた!」を認めてあげること!

この二つだけです!!!!

とても簡単だと思いませんか?

だけど、簡単とは真逆で、この魔法の効果はすごいです。

実践している人なら身に染みてよく分かるでしょう!

詳しく解説します。

大人が遊びを強制してしまわないように注意しましょう!

あくまで、親が楽しそうに実践して見せて、子どもに「こうやって やってみたらどう?」と提案してみることをおすすめします。

なぜなら、子どもにとって、遊びは本来、自発的なものです。そして”何かのために遊ぶ”のではなく、”遊ぶのが楽しいから遊ぶ”のです。

専門用語で”内発的動機”といいますが、この状態ではその行為自体に没頭し、とても集中して何度も繰り返しやってみたり、より楽しむために自主的に創意工夫をしたりするようになります。

子どもがそのような状態であれば、遊びの中で自らいろんな動作を行って自然と身につけていきますので遊びを強制しないようにしましょう。

大切なのは、子どもが何かできたときに、できたことを認めてあげることです。”お!よくできたね!”とほめるだけで良いのです。

そうすると子どものなかで有能感(=自信)が高まり、もっとやってみたい!と次の行動につながります。

このようにつながると、良いスパイラルとなり、徐々に、子どもが自ら進んでからだを動かすようになっていきます。

子どもの運動神経を鍛える”遊び”. ちょっとした工夫で劇的に変わる!

子どもが遊ぶためには「時間」「空間」「仲間」の3つの「間」が必要と言われています。

しかし、現代社会では外で遊べる場所(空間)はどんどん減っていますし、住環境や世間付き合いの変化で、すぐに遊べる仲間がいない場合も少なくありません。

そこで、あなたの身の回りの環境に合わせてできる遊びをお伝えできるように、4つの”場所”に分けて紹介します。

 家の中遊び家の前遊び公園遊び自然遊び
時間(移動が少なく短時間でも楽しめる)移動無し移動無し移動が必要
空間(環境が整ってなくても楽しめる)危険じゃなければ近所にあれば
仲間(一人、もしくは親子だけで楽しめる)

家の中で楽しめるカラダ遊び

家の中では、ひとりでおこなう体操遊びや、大人とおこなう組み体操遊び、段ボールを使った遊びなどをご紹介します。

家の前で楽しめるカラダ遊び

家の前では、なわとびやフラフープ、ボールなど、安価に揃えられる小道具を使って、楽しめる遊びを考えていきます。

車通りが多い場合などは、公園の広場などでおこなってください。

公園で楽しめるカラダ遊び

公園にはすべり台や鉄棒、ブランコ、砂場、ジャングルジムなどの固定遊具があり、子どもたちがダイナミックにからだを動かして遊ぶことができます。

たとえば砂場遊び。普段なら砂遊びセットを使って型に砂を入れて遊ぶ程度かもしれませんが、下のような遊びをすることで、多くの基本動作をとり入れることができます。

他にも、多くの公園にあるクラシックな固定遊具の基本の使い方~応用的な使い方まで、別の記事で詳しく解説しています!合わせてご参考にしてください。

自然で楽しめるカラダ遊び

自然は遊びの宝庫です! 発想しだいで遊び方は無限大!! 

人に頼るのも全然あり!

ここまで読んでいただいた方からは、「子どもと遊ぶ時間が取れない」「一緒に遊ぶだけの体力がない」などという声も聞こえてきそうです。

そんな方は、無理せずに人の力を借りながらマイペースで進めましょう!

最近ではオンラインで受けられる運動教室もあります。

こちらのオンライン運動教室は親子参加型なので、まさに親子で一緒に楽しめます。無料体験ができるようなので、まずはぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

子どもがハマって運動好きになればいいですね!!!

転倒する子ども

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