この記事では、「運動あそび」について、他のどのサイトよりも詳しく丁寧に解説をしています!
運動あそびってなに?どんな効果があるの?
スポーツをやらせておいたら問題ない?
子どもの年齢に合う運動あそびを教えて!
このような読者の疑問や要望にお応えします!
実は、運動あそびは
- 「からだ」と「こころ」の成長に大きな好影響をもたらす!
- スポーツアスリートになるためには必須の生活習慣!
- 6歳までの運動あそびが、その後の運動神経を左右する!
運動あそびは本当に良いことだらけです。
ぜひたくさんの親御さんに知ってもらい、お子さんに実践していただくことを願っています。
大学で幼児の運動能力の調査・研究していた筆者が詳しく解説していきます!(筆者のプロフィールはこちら)
この記事では、以下の参考書籍をもとに記載しています。
『0~5歳児のたのしい運動遊び』 黒井信隆 著
『10歳からの学力に劇的な差がつく 子どもの脳を育てる「運動遊び」』柳澤弘樹 著
『運動が得意になる子供の育て方』 NPO法人 上州アスリートクラブ 監修
『運動神経が良くなる本』 中村和彦 著
『天才は十歳までにつくられる「ヨコミネ式で子供は輝く」』横峯吉文 著
『イラストでよく分かる0~6歳児の発達と保育』 金田智栄子 著
『マンガでよくわかる モンテッソーリ教育×ハーバード式 子供の才能の伸ばし方』伊藤美佳 著
『赤ちゃんと一緒に楽しむ あそびアイデアブック』開一夫 監修
『パパは脳研究者』 池谷裕二 著
『母脳 母と子のための脳科学』 黒川伊保子 著
『心理学者・脳科学者が子育てでしていること、していないこと』 杉山崇 著
『運動指導の心理学』 杉原隆 著
ではさっそく、いきましょう!
運動あそびとは?
「運動あそび」とは、からだ全体を使った遊びのことです。かけっこや鬼ごっこなど、身一つで遊ぶものもあれば、なわとびやトランポリン、ボールあそびなど道具を使った運動あそびもあります。1人でできる遊びから、2人以上で楽しむ運動あそびもあります。
※からだ全体を動かすあそび
- かけっこ
- なわとび
- ストライダー
- トランポリン
- ボールあそび
- 公園遊具あそび などなど
※手指やからだの一部だけを動かすあそび
- お絵かき
- おりがみ
- ブロックあそび
- ビーズ
- おままごと
- テレビゲーム などなど
運動あそびが幼児にもたらす身体的効果
運動あそびで「多様な動きが身につく」
”運動あそび”の効果として大きいのは、運動あそびを通してたくさんの”動き”が身につき、結果として、自分のからだを自由にコントロールできるようになることです。
実は、運動神経が良い人というのは、多様な動きを身につけていて、自分の身体を自由にコントロールできる状態の人のことを言います。いろいろな運動をたくさんした経験がある子供たちは、運動能力が高い傾向にあることは調査からも分っています。
注意したいのは、お子さんを特定のスポーツクラブに入れる場合があるかと思いますが、一つのスポーツでおこなう動きは非常に限定されているため、多様な動きの獲得という意味では不十分なことです。昔の運動が得意な子どもは、野球もサッカーも陸上競技も、何をやらせても上手でしたが、今は、野球以外は出来ない、サッカー以外は出来ないというように、とても偏った傾向にあります。
子供たちの運動能力は、親から遺伝的に引き継いだものよりも、生まれてからの経験によって左右されるところが大きいです。小さい内に運動あそびをさせて、たくさんの動きを獲得しましょう。
運動あそびで「基礎体力がつく」
運動あそびによって「筋力」「持久力」「柔軟性」「バランス」といった基礎体力を身につけることができます。
実は、小学生の体力テストでは、1985年以降、約30年近く子どもの体力が下がり続けており、大きな問題になっています。その原因は、生活環境の変化により、運動あそびに必要な3つの間(「時間」「空間」「仲間」)が激減したことによって、子どもたちが遊ばなくなった、つまり体を動かさなくなったことだと考えられています。
最低限の基礎体力をバランスよく身につけるためにも、運動あそびはとても重要です。
運動あそびで「ケガや病気をしにくくなる」
基礎体力がつき、多様な動きが身につくことで、ケガをしにくくなります。
驚くべきことに、最近では、つまずいて転んでも とっさに手が出ずに顔を地面に打ちつけたり、階段を2段飛び降りただけで骨折したりするような子どもが多くなっています。運動中のケガも多く、ドッジボールをしていて顔にボールが当たっても目を閉じることができず、ひどい場合は眼球を損傷したという報告もあります。ここ20~30年で、子供の絶対数は激減しているにもかかわらず、顔の怪我が2万件ほど増えています。
また運動刺激は、免疫力(体内に病原体が侵入しても発病を抑える力)にも好影響をもたらします。運動が不足すると、ちょっとしたことで疲れやすい、感染症にかかりやすい大人になるリスクが高くなってしまいます。
ケガをや病気にかからないよう、身を守る意味でも、運動あそびは大切です!
運動あそびが幼児にもたらす精神的効果
運動あそびで「こころが育つ」
具体的には、運動あそびを通して「協調性」や「社会性」が身につきます。
なぜなら、集団で遊ぶには、その場にいるメンバーに応じて臨機応変にルールや遊び方を工夫する必要があるからです。そうした中から、人とのコミュニケーションの取り方の基礎を自然と身につけるのです。
そのため、運動あそびをする際には、出来る限り友達と複数人で、子ども同士のコミュニケーションのなかで遊ばせてあげるようにしましょう。運動あそびに「仲間」は重要です。
運動あそびで「学力に良い影響がある」
運動あそびによって、好奇心と集中力が高まり、学力にもいい影響があることがわかっています。
なぜなら、少し汗ばむくらいの運動をすると、脳内に、好奇心を作り出すドーパミンと、集中状態を生み出すノルアドレナリンという二つのホルモンが同時に分泌されることがわかっているからです。この好奇心と集中力は勉強をする上でもとても大事な働きをするのです。
学力を伸ばしたい場合には、適度に運動あそびをすることは有効です。
幼児期にたくさん運動あそびをした方が良い理由
神経系の発達は、6歳までに90%近く完成してしまう
有名な「スキャモンの発達・発育曲線」によると、器用さやリズム感、バランス感覚といった、運動能力に関わる「神経系」は6歳までに90%近くまで発達するといわれています。
つまり、6歳までの神経系の急速な発達時期に運動あそびをすることで、多様な動きや、運動に必要なリズム感、バランス感覚などをスポンジのような吸収力で身につけることができるということです。
この機会を逃すわけにはいきません! ぜひ“お子さんが小さい内に”、多くの運動あそびを経験させてあげてください。
アスリートの共通点:幼少期にたくさん運動あそびを経験
国内外の様々なスポーツのトップアスリートの生い立ちについて書かれた書籍を20冊以上記述を読んだ結果、多くのアスリートに共通するのは、幼少期に朝から晩まで運動あそびに明け暮れていた、という事実です。
野球の大谷翔平選手も、サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手も、ラグビーのダン・カーター選手も、トップアスリートは皆、幼少期によく運動あそびをしていたのです。
特定のスポーツで一人前に育ってほしいと願う親ほど、早いうちからそのスポーツに特化してクラブチームに入れたり、朝から晩までそのスポーツの練習に付き合おうとする親御さんもいるかと思います。しかし、トップアスリートの生い立ちを見ると、特定のスポーツに打ち込む以上に、不特定の運動あそびをたくさんした、というのが実情なのです。
早いうちから特定のスポーツクラブに入っていたトップアスリートもいるので、それ自体が悪いことではありません。ただし、それ以上にたくさん運動あそびをしていた、というのがポイントなのです。
多様な運動あそびを通して、幼少期に様々な動きを獲得しておくことが、自分のカラダを思い通りにコントロールする能力や、指導された動作をその通りに遂行する能力に繋がっていきます。スポーツクラブに子どもを入れるのは、子ども自身が特定のスポーツに興味を持ってからでも遅くはありません。
運動あそびをする際のポイント
指導するのではなく、楽しくあそぶ環境を整えてあげる
2012年、東京学芸大学の杉原隆名誉教授らが「幼児体育指導を受けている子よりも、それを受けずに運動遊びを行っている子の方が、運動能力が高い」という衝撃的な研究結果を示しました。
全国約9000人の幼稚園児の運動能力を調べ、マット運動や体操などの体育指導を受けていない子どもと、指導を受けている子どもとで運動テストの結果を比較した時に、受けていない子どもは30点満点で19点台だったのに対し、受けている子どもは18点台。体育指導を受けていない子どもの方が点数が高かったのです。
なぜこのような結果になったのか、杉原教授らの考察は以下の通りです。
体育指導を行っている園では、
- 特定の種目の練習を繰り返すため、子どもが経験する動きの種類が限定されている。
- 説明を聞いたり、順番を待ったりする時間が長く、子どもが運動する時間が短い。
- 強い競争心を持つ年代ではないので、指導によってできない子どもがやる気を失ってしまうことがある。
運動あそびに力をいれている園では、
- 自由に楽しく遊べる環境を作っている(木に足場を作ることで「登る」。遊具をあちこちに置いてバランスよく「渡る」。手や足を使って「ぶら下がる」など)
- 自由な運動あそびを通して、たくさんの種類の運動を経験することができている
杉原名誉教授は「いろんな動きをしたくなるような環境を作ってあげて、できるだけ活発に、たくさんの運動を自分たちで工夫して楽しんで体を動かすことが大事です。そうすれば意欲も高まり、運動能力も高まるという好循環が生まれる。小学校3年生くらいまでは、遊びながらさまざまな動きを経験させることが運動能力を伸ばすのにつながる。」と話しています。
成長に見合った運動あそびのおもちゃを用意してあげる
例えば、補助輪なしの自転車をこぐという運動ですが、実は幼い子どもにとってはとても難しい運動です。いきなり自転車に乗るのは不可能なので、”子どもの成長段階に合わせて”適切なものを用意してあげる必要があります。
自転車に乗る場合、からだ全体で自転車のバランスを取りながら、足ではペダルをこぎ続け、手ではハンドルを操作しながら必要ならばブレーキバーを握る、いったように多くの動作が必要になります。 更に、自転車を支える体幹や腕力、重いペダルをこぐための脚力、といった筋力の発達や、スピードを出しながらも前方に危険がないかを確認・判断する認知能力の発達などが必要です。
一度にすべてを習得することはできないので、一つずつ覚えて、レベルアップさせていく方法を考えましょう!
たとえば、まずは”ペダル無しの3輪車“で乗る感覚やハンドルを操作する感覚を覚え、次に”ペダル無しの2輪車”で、からだ全体でバランスをとることとハンドブレーキの操作を覚えます。そして最後に、”補助輪付き自転車”でペダルのこぎ方を覚えれば、補助輪をとっても、自然と自転車に乗れるようになるのです。
自転車だけでなく、いろいろな運動あそびをする際に、お子さんが”できることと、できないこと”を見極めて、段階的に覚えていけるように、サポートしてあげるのがおススメです。ここでも、教えようとするのではなく、適切なおもちゃを与えること(環境整備)の徹して、子どもに自由に遊ばせるようにしましょう。
運動あそびに必要な「3つの間」をアレンジする!
運動あそびを楽しむためには3つの間(「時間」「空間」「仲間」)が必要と言われています。
この3つの間がない場合には、少し工夫してみましょう!
家の中での「非運動あそび」の時間を「運動あそび」の時間に!(時間)
子どもの運動あそびが減っている背景には、運動以外の時間が増えているという事実があります。昔のように”他にやることがないから外で遊ぶ”という時代ではなくなり、いまや運動あそびは意識してとり入れるようにしなければならない時代です。
お子さんが、家でテレビゲームやYOUTUBEを見ている家庭では、その時間を運動に当てるように意識してみましょう!
とはいえ、親が「外に遊びに行きなさい」と子どもに言ってもうまくいかないのは目に見えています。
おススメなのは、テレビゲームなら子どもに与えるソフトを”身体を動かすもの”に変え、それを親子で一生に楽しむことです。Nintendo Switchの「リングフィットアドベンチャー」などが良い例です。YOUTUBEも、楽しく運動するコンテンツを発信しているチャンネルがたくさんあるので、そちらに置き換えるのは良いアイデアです!
場所に応じた運動あそびを用意してあげよう!(空間)
運動あそびには空間も大切です。「公園・自宅前・室内」のそれぞれで遊ぶことのメリットとアイデアをお伝えします!
公園での運動あそび
近くに公園があるならば、ぜひ公園に連れ出して親子で一緒に遊びましょう! 公園にはジャングルジムやブランコ、すべり台などの大型遊具があるので、他では経験できないダイナミックな運動あそびを楽しむことができます!
公園遊具でどうやって遊んだら良いかわからない方は、こちらの記事をご覧ください! ひと通りの公園あそびで、幼少期に身につけたい36の基本動作のうち、8割くらいは経験できちゃいます!
自宅前での運動あそび
自宅前では、フラフープやコーンといった、ちょっとしたおもちゃ(小道具)を用意して、楽しい運動あそびを子どもに提案してみましょう!
道具を操作する能力は、後々、スポーツでバットやボール等を操作する能力に繋がっていきます!
外遊びならではのダイナミックな運動あそびで、子どもの運動能力を高めましょう。
各年齢や発達レベル別におすすめの外遊び用おもちゃをご紹介します。
室内での運動あそび
室内では、あまり激しい運動あそびはできませんが、その分バランス感覚を養うような運動あそびはいろいろできます!
バランスボードやバランスボール、トランポリンなどを使って、子どものバランス能力を開花させましょう!!
まずは親が楽しくあそんでいる姿を見せよう!(仲間)
すでにあそび仲間がいる場合は問題ありませんが、もし一緒に遊べる友達がいない環境であれば、まずは親子で あそび、親が率先して楽しんでいる姿を子どもに見せましょう!
大人が率先して遊んでいると、子供は自然とその後をついて真似するようになります。遊ぶ際の”身体の動かし方”を、脳内のミラーニューロンの働きによって、親の動きの観察を通して身につけていくのです。そうやって、まずは大人がやってみると、それに倣って子供たちの運動量も自然と増えていきます。
時間・空間・仲間を見つけるのが難しい場合
現代では生活環境が大きく変化したことで、昔と比べると、なかなか子どもたちと遊びに行く時間がない、近くに公園など遊べる場所がない、遊び友達がいないなど、運動あそびを行いにくい環境の方も多いと思います。
そんな方には、オンラインでの子ども運動教室がおススメです。
こちらの記事で紹介している「へやすぽ」はとてもエンタメ性が高くて、子どもが楽しく続けやすいのでおススメですよ!運動教室ですが、強制的な指導でもなく、いろんな動きを楽しく経験することができます。
- 楽しい”エンタメ”と”コーチング”で、運動嫌いの子でも楽しく運動あそびができる!
- 本格的な運動(鉄棒など)につながるような運動あそびの設計が秀逸!
- “自宅”で”スマホ一つ”で”30分”でできる!(マンションでも!)
- 親も一緒にカラダを動かして楽しめる!(親も運動不足解消できる!)
まとめ
いかがでしたでしょうか。お子さんの子育ての参考になりそうな内容はありましたか?
この記事のまとめはこちらです。
- 運動あそびとは「からだ全体を使った遊び」のこと
- 運動あそびによって多様な動きの習得、基礎体力の向上、ケガや病気の予防といった身体的効果がある
- 運動あそびによってこころの発育や、学力向上などの精神的効果もある
- 神経系は6歳までに90%近く発達するので幼児期にたくさん運動あそびをした方が良い
- 多くのアスリートも共通して幼少期にたくさんの運動あそびを経験している
- 運動あそびをする際は、指導するのではなく、楽しくあそぶ環境を整えてあげる
- 成長に見合った運動あそびのおもちゃを用意してあげることが大事
- 運動あそびに必要な「3つの間(時間・空間・仲間)」をアレンジする!
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